中村葡萄酒企画

埼玉県戸田市を中心に「ワインを今よりも身近なものにする」活動をしております。

またもや、放置プレイのブログになってしまっています...
今年は短い内容でも頻繁に更新していこうと思っています。

年末から年始にかけて、眩暈がするぐらいの展開でしたが、またもやコロナでスローダウンです...「鬼は外」ではなく、「コロナ外」と言いたくなってしまいます。

と、いうことで節分です!季節の分かれ目なので春がやってくるのでしょうか?
福を呼び込むためにも止まってはいられません。

今年から新しいプロジェクトを立ち上げた相棒がイベントを開催するので、ちゃっかり便乗してワインを販売しようと思います。
北北西を向いてワインを飲んで、福と春を呼び込みましょう!!!

恵方巻きキンパッ】
2/3(木) 12:00〜販売開始(テイクアウトのみ)
料理については、現金支払いのみです。
メニュー内容、ご予約&お問合せは、Instagramで @testkichen_sim まで!

【家飲み応援!ワイン10%off!!!】
ワインについては、現金、PayPay、戸田市応援券、使えます。

【会場詳細】
埼玉県戸田市本町4-14-14-2F
戸田公園東口すぐ「さぼり場」(イザカヤ様2F)
Instagram @saboriba_tp

 

中村葡萄酒企画
埼玉県戸田市を中心に「ワインを今より身近にする」活動をしております。

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ナチュールの共通点〜オレンジワインのテイスティング

今回のテイスティングの最後はオレンジワインです。
自然派といえば!」という存在なのがオレンジワイン。
私は、長い間、イタリア料理業界におりましたので、特にそんな印象があります。
北イタリア、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリアの作り手が
アンフォラを使い、開放発酵を取り入れて、出来上がったワインに目を丸くしたのを覚えています。
ラディコン、グラブナー、ダリオ、ズィダリッヒなどなど、今では普通に受け入れられていますが、15年ぐらい前はお客様からクレームに近いコメントをもらったこともありますw
私の接客能力が未熟だったのですが・・・

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そんな私が令和の時代になってテイスティングさせていただくのは、
ジョージアの土着品種、ツィツカとツォリコウリを半々使用したワインです。
前述の「クヴェヴリ」という大きな土の壺で、房のまま、7ヶ月醸します。
赤ワインでも半月ぐらいですので、相当長い・・・その後、クヴェヴリでアルコール発酵となります。

7ヶ月醸しをした後、フリーラン(絞らない果汁)だけで発酵をしても、期間が長いので色も濃くタンニンもしっかりあります。
それでも果実感はクリアで非常に綺麗に仕上がっているので、飲みやすいと思います。
オレンジワインも多様化してきている印象がありますが、こちらは正統派。
オレンジワインのペアリングとして、エスニックやスパイシーな料理も可能ですが、
こちらに関しては、貝類や甲殻類、肉でも脂に甘みがある豚などを、ひねらず西洋の味付けで調理した方がバランス良さそうです。

同じ作り手で、様々なジャンルをテイスティングしてみましたが、感じたことは大きく2点。

①味わいとして素材そのものを表現している。
品質管理という点で、手間と時間はかけていると思うのですが、不必要な手は加えていない印象です。ジョージアは文化として、今で言うオレンジワインの製造法があったと思うのですが、他の地域がそれを持ってくるのではなく、その地域なりの自然な作り方でいいんじゃないかなぁ?と思ってしまいます。
②まだまだ良くなる余地がある。
昔と比べて、品質は確実に良くなっています。現在はジャンルとして確立されました。その上で良くなる要素はあると思います。特にペティアンとシードルが面白くなるといいなぁ・・・と思います。

私もまだまだ探り始めたばかりですので勉強をして、また取り上げたいと思っています。

 

ナチュールの共通点〜ペティアンのテイスティング

少し、間が空いてしまって申し訳ありません。
3種目のテイスティングは、ペットナット(ペティアン・ナチュール)のテイスティングです。
ペティアン=微発泡ワイン、ナチュール=自然派ワイン、ということで、
自然派の微発泡ワインとなります。
ここ数年で、人気が急上昇し生産者も増えました。
私の意見としてですが、出始めの頃の印象があまり良くなかったです。
まず、濁っていたのが気になり、自然派によくある豆っぽい還元臭が強かった。
そして、瓶内一次発酵に失敗し、やたらガス圧が高くて吹き出したり・・・
それほど種類は飲んでいませんが、今はそのようなペットナットは減ったと思います。

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こちらが「ペット・ナット・タヴクヴェリ2017」
ジョージアの黒葡萄、タヴクヴェリ100%です。
やや濁りのある紫色で、還元臭は全くなく、柔らかい果実の香りが心地いい。
味わいもジューシーでタンニンも角がなく柔らかい。ガスもソフトな割にガス持ちはいい。
ノンドサージュで残糖が2.88g/Lということですが、もうちょっとありそうな気が・・・
それぐらい、自然な果実感があります。

すごくオススメなペットナットです!
ペットナットの短所というと、手間がかかってる分、少し割高でしょうか・・・
こちらはその分の満足度はあると思います。

ナチュールの共通点〜シードルのテイスティング

続きまして、シードルのテイスティングです。

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「セカンド・フルーツ・シードル」
ジョージアのシードルと出会ったのが初めてだったので、
見つけた時は「あるんだなぁ」という印象でしたが、
よく調べてみると色々と面白い要素があるシードルなんです・・・

ビオロジックで栽培された林檎を原料として、自生酵母使用、無濾過、無清澄、SO2無添加というところで、作りも味わいもしっかりと「ナチュール」です。
ここまでは、あると思います。自然派生産者なら当然の流れです。

まず、注目する点は、4種類の林檎を使用しています。
ラニースミスがメインで50%、次に多いのは「ふじ」が25%・・・
知らなかったのですが、「ふじ」は世界の林檎生産量第一位で20%も作られているそうです。
ジョージアでも作られているんですね。素晴らしい!

次に気になったのは、「クヴェヴリ」を使っています。
二つ前の記事、「ナチュールの共通点〜はじめに」の写真にある、土でできた大きなツボです。
イタリアンが長かった私は、北イタリア、フリウリの「アンフォラ」と同じだと思っていましたが、違いがあるようです。
クヴェヴリは、内側が蜜蝋でコーティングされていてワインが染み出さないようになっています。
外側はセメントなどで強化されていて、そのまま埋めても土の重みで割れないようになっています。
埋めると、こんな感じです。

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アンフォラも土の壺なんですが、素焼きで取っ手がついています。
用途としては、「液体を輸送する」ことがメインのようです。
クヴェヴリは土に埋まっているので、温度は自然な温度で保てそうな気がします。
気になるのは衛生管理です。どうやって掃除をするのか・・・?
どうやら現地には、専門の清掃業者がいるようです!
話はそれましたが、このシードルから不衛生による要素は感じません。

テイスティングをした印象は、
無濾過、無清澄ということで若干の濁りはあります。
香りは、フローラルの香りとりんごの蜜のような香りから柔らかい印象を受けます。
味わいは、甘さは控えめで酸が綺麗ですっきりとした味わいです。
後味に林檎の皮のような渋味をほんのりと感じます。
ありきたりな表現ですが、林檎らしさを感じるシードルです。 

ナチュールの共通点〜ビールのテイスティング

まずは作り手について、簡単に。

ジョージア黒海カスピ海の間あたりにあります。
アルメニアに面したカルトリ地方にある家族経営の作り手です。
現当主は、元建築家。父は画家、祖父がワインを作っていました。
祖父の時代にサマーハウスにしていた場所が、現在の醸造所兼住居です。
2002年からワインを作り始め、初リリースは2010年。
無農薬栽培からビオディナミを取り入れ、2017年にはジョージア初、ヨーロッパのビオディナミ認証ワイナリーとなります。

まずはこちら。

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「アルティザン・ブルー・グレープ・エール・ビール」
ジョージア産の大麦、モルト、ホップ、コリアンダー、ワイン酵母を水で煮たものに、
ジョージアの土着品種、「チヌリ」という白葡萄のスパークリングワインを全体の30%加え、発酵槽で3ヶ月発酵。

テイスティングをしてみると、ボトル前半はワインの酸味をしっかりと感じます。
この「チヌリ」という品種は酸味がしっかりある品種とのこと。
コリアンダーのスパイス感、ホップの爽やかさと葡萄の酸味のバランスが取れています。
ボトル後半に進むにつれて、麦の旨みを感じます。これは澱が上がった事と、
酸味に味覚が慣れてきて、それ以外の要素を感じてきたからだと思われます。
コリアンダーの主張と酸味から、スパイシーな料理と抜群に合います。
私は、無性にカレーが食べたくなりましたw
そして、真夏に冷やして爽やかに!というのもアリです。

スパークリングワインが入っているという点で、
「ビール」というカテゴリーから少し離れてしまっているかもしれませんが、
このような自由な発想が、ワインへのエントランスになる可能性を感じました。

ナチュールの共通点〜はじめに

私の考えとして、「自然派だから美味しい」はちょっと違うと思っています。

今はだいぶ減りましたが、自然派で「これはちょっと違う」と思うことがあるからです。
自然派」という言葉を聞くようになった15年ぐらい前は、そんなワインが多かったと思います。
自分側にも偏見はあったと思います。
それまでは、清澄され濾過されて瓶詰めされていて、グラスに注いだ時に透明感があるワインが良かれとされていました。
ソムリエ試験では「外観は健全です」などとコメントするぐらいですし・・・
生産者の努力もあり、疑問を感じる自然派生産者は減ってきました。
こちらも冷静な観点で向かい合っているつもりです。

その結果、「美味しいワインが自然派だった」という機会は増えています。
以前の記事に載せた認証制度も作られて、消費者も認識しやすくなりました。
生産者も認証を得た方が良いと考えるようになったのでしょう。

少し戻って、「自分側の偏見」という点ですが、歳を重ねたせいでしょうか?
若かりし頃は、「ワインが一番だ!」ぐらいの感覚でしたので、まぁ偏りますよね。
体との相性があるにせよ、いろんなお酒を口にするようになったおかげで世界も広がります。
先日は、サイダーのプロ、クラフトビールのプロとお話しする機会がありました。
それぞれ、テイスティングさせていただくと驚くことが多々ありました。
サイダーは「自然派の作りがスタンダード?」と思うぐらいの印象ですし、
クラフトビールは「熟成させるとワインのような風味」というようなものがあります。

「面白いもんだあぁ・・・」と思いながらワインカタログを眺めていました。
ジョージアの作り手で「ん???」と思い、PCをいじる指がストップしました。
「Gotsa」という作り手です。
ワイン発祥の地とされているので、もちろんワインは作っています。
その中でも、自然派ワインの代名詞とされる、「オレンジワイン」と「ペットナット」を作っています。
さらに、「シードル」も作っています。まさかの「ビール」も作っています!
同じ生産者でこれらを飲み比べると、何か発見があるかな?と、思って全て購入。
そのテイスティングをInstaLiveで配信しよう!という流れとなったわけです。

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ワインにとっての自然って?〜認証について

ナチュラルワインについて調べて、仕組みや問題が見えてきました。

ファンの方々は、ナチュラルワインを飲みたいわけですが、ところで「どうやって見分けるの?」という話です。

前述の通り「生産者任せ」の要素が大きい。そうなると制度を作るのが当然の流れで各国、様々な制度があります。そちらをご案内しようと思います。

 

まずはヨーロッパから。

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「ユーロリーフ」

EU有機農業規則に従って生産された農産物であることを証明するマーク。その中で生産地を分類する補助文があります。

EU Agriculture」→農業原料がEU内で生産

「non-EU Agriculture」→農業原料が第三国で生産

EU/non-EU Agriculture農業原材料の一部がEU内で生産され、その他の部分が第三国で生産。当該製品を構成する農業原材料のすべてがある特定の国で生産されたものである場合は、具体的な国名に置き換えるか併記も可能。

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「AB/Agriculture Biologique」

1981年にフランス政府が指針を制定し1985年以来使用されています。フランス農務省が認証しています。最低3年間は有機農法実施していて、オーガニック材料を95%以上含む。EU圏内で生産あるいは、加工されたものに限るなど厳しい基準を設けていて、1年ごとの抜き打ち検査も行われます。

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「エコサート」

1991年に設立。フランスのトゥールーズを本拠地に置く国際有機認証機関です。ヨーロッパで規定されているオーガニック基準を満たしているかを厳しく検査し、認定を行なっており、すでに世界のスタンダードとなっています。

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「Demeter」

世界で最も基準が厳しいともいわれるオーガニック認証の1つ、Demeter(デメター、デメテル)認証。Demeterは、Biodynamic Agriculture(バイオダイナミック農法、ビオディナミ)により生産された農作物、厳しい基準に則して加工された製品にのみ、認証マークをつけることが認められています。特に欧米では、デメター認証を受けた農産物は、高い実績が認められ、高品質であると信頼を得ており、一種のステイタスともなっています。

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「Bio-Siegel」

ドイツ政府認定、オーガニック認証の統一規格「Bio-Siegel(ビオシーゲル)」。2001年に連邦消費者保護・食糧・農業省大臣によって導入され、EU有機栽培の基準を満たした農産物や商品に、EUの認証マークユーロリーフと一緒に貼付することが可能となりました。

 

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「Soil Association」

英国最大の有機認証機関ソイル・アソシエーション・サーティフィケーション(Soil Association Certification Ltd)によるオーガニック認証マーク。

Soil Association (ソイル・アソシエーション / 英国土壌協会)」は「健康な土壌が健康な植物を育み、それが健康な体を生んでいく」という基本理念のもと、1946年に設立。EU規則やその他の国内基準と比較しても、より条件の厳しい基準を設けるとともに、オーガニックの普及にも大きく貢献しています。

 

ワインのラベルでよく見るのは、「ユーロリーフ」と「AB」あたりでしょうか。

「Demter」は、私があまりドイツワインを飲む機会がないからでしょうか?それとも取得が大変だからでしょうか?まだ見たことありません。

続いてはヨーロッパ以外の地域の制度です。

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「USDA」

アメリカの法律(National Organic Program)で定められた、米国農務省(United States Department of Agriculture)オーガニック認証のマーク。95%以上の有機原料を使用したものでなければマークをつけることはできません。

【100 percent organic】
100%オーガニック表示・マーク貼付可

Organic
95
%以上オーガニック原料の製品はオーガニック表示・マーク貼付可

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「COR」

カナダ国内の有機認証制度、COR(Canada Organic Regime)に基づき認証されたものにつけられるオーガニック認証マーク。カナダ食品検査機関(CFIA)がロゴの使用を規制しています。有機ロゴの使用は、95%以上の有機含有量を有し、COR(Canada Organic Regime)の要件に従って認定された製品に対してのみ許可されています。

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ACO

ACO(Australian Certified Organic)は、オーガニックおよびバイオダイナミック農産物のオーストラリア最大の認証機関。オーストラリア検疫検査局(AQIS / The Australian Quarantine and Inspection Service)によって承認された認証会社です。オーストラリア認定オーガニックのロゴ「bud(つぼみ)は、オーストラリアのオーガニック業界を代表するロゴです。

 

やはり農業大国には制度システムがありますね。オーストラリアは色々な商品にカラーリングなども合わせて、このマークがついているようです。

では、我が国はどうか?

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農林水産省が「有機JAS」という認証をしています。農薬や化学肥料に頼らないことを基本とし、農産物、加工食品、飼料及び畜産物に着くマークです。

しかーーし!ワインをはじめとするアルコール類は対象となっていません!!!

大きな理由は、アルコール類の管轄省庁は、農林水産省でなく国税庁だということで、このマークは使えません。いかにも日本らしい理由。一応、国税庁も「酒類における有機等の表示基準」というものを定めていて、準じた製造をすれば「有機」「オーガニック」と表記できます。

 

前回のブログにある「ビオディナミ農法」はオーストリアの学者が提唱したので、やはりヨーロッパは自然派の生産者も多く制度も整っています。アメリカ、カナダ、オーストラリアは移住者も多いし農業が盛んなので必要性もあると思います。
日本も農業は盛んで海外に自慢できるものはたくさんあります。お米や和牛など原産地呼称も制度化されていますが、ワインの原産地呼称についてもやっと決まったぐらいでしょうか。これから、国産自然派ワイン専用のマークとかラベルについているとファンの方には選びやすくなるかもしれません。自然派生産者はたくさんいらっしゃいますので。

海外でも、認証は受けていないけど自然派という作り手はたくさんいます。ロマネコンティもそうですし。ロマネコンティが認証されてるかは知りませんが、認証されなくても銘酒として売れます。歴史もありますしw

 

皆様にお伝えしたいのは、「認証されてるから美味しいワイン」というわけではない部分もあるということです。ビジネスの要素もあります。私がワインを勉強し始めた頃は、ヨーロッパの酷いビオワインが多かったのも現実です。今ではあまり見かけません。制度が確立され、生産者の意識も高まり、努力が結果に繋がったのだと思います。今後も楽しみなジャンルであるのは間違いありません!

 

ちなみの、「SO2無添加だから二日酔いが楽」というのは科学的に立証されていないようです。裏付けとして、私も身をもって感じています。問題は体力と飲み方のようです。皆様もほどほどに・・・