中村葡萄酒企画

埼玉県戸田市を中心に「ワインを今よりも身近なものにする」活動をしております。

ワインにとっての自然って?〜認証について

ナチュラルワインについて調べて、仕組みや問題が見えてきました。

ファンの方々は、ナチュラルワインを飲みたいわけですが、ところで「どうやって見分けるの?」という話です。

前述の通り「生産者任せ」の要素が大きい。そうなると制度を作るのが当然の流れで各国、様々な制度があります。そちらをご案内しようと思います。

 

まずはヨーロッパから。

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「ユーロリーフ」

EU有機農業規則に従って生産された農産物であることを証明するマーク。その中で生産地を分類する補助文があります。

EU Agriculture」→農業原料がEU内で生産

「non-EU Agriculture」→農業原料が第三国で生産

EU/non-EU Agriculture農業原材料の一部がEU内で生産され、その他の部分が第三国で生産。当該製品を構成する農業原材料のすべてがある特定の国で生産されたものである場合は、具体的な国名に置き換えるか併記も可能。

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「AB/Agriculture Biologique」

1981年にフランス政府が指針を制定し1985年以来使用されています。フランス農務省が認証しています。最低3年間は有機農法実施していて、オーガニック材料を95%以上含む。EU圏内で生産あるいは、加工されたものに限るなど厳しい基準を設けていて、1年ごとの抜き打ち検査も行われます。

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「エコサート」

1991年に設立。フランスのトゥールーズを本拠地に置く国際有機認証機関です。ヨーロッパで規定されているオーガニック基準を満たしているかを厳しく検査し、認定を行なっており、すでに世界のスタンダードとなっています。

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「Demeter」

世界で最も基準が厳しいともいわれるオーガニック認証の1つ、Demeter(デメター、デメテル)認証。Demeterは、Biodynamic Agriculture(バイオダイナミック農法、ビオディナミ)により生産された農作物、厳しい基準に則して加工された製品にのみ、認証マークをつけることが認められています。特に欧米では、デメター認証を受けた農産物は、高い実績が認められ、高品質であると信頼を得ており、一種のステイタスともなっています。

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「Bio-Siegel」

ドイツ政府認定、オーガニック認証の統一規格「Bio-Siegel(ビオシーゲル)」。2001年に連邦消費者保護・食糧・農業省大臣によって導入され、EU有機栽培の基準を満たした農産物や商品に、EUの認証マークユーロリーフと一緒に貼付することが可能となりました。

 

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「Soil Association」

英国最大の有機認証機関ソイル・アソシエーション・サーティフィケーション(Soil Association Certification Ltd)によるオーガニック認証マーク。

Soil Association (ソイル・アソシエーション / 英国土壌協会)」は「健康な土壌が健康な植物を育み、それが健康な体を生んでいく」という基本理念のもと、1946年に設立。EU規則やその他の国内基準と比較しても、より条件の厳しい基準を設けるとともに、オーガニックの普及にも大きく貢献しています。

 

ワインのラベルでよく見るのは、「ユーロリーフ」と「AB」あたりでしょうか。

「Demter」は、私があまりドイツワインを飲む機会がないからでしょうか?それとも取得が大変だからでしょうか?まだ見たことありません。

続いてはヨーロッパ以外の地域の制度です。

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「USDA」

アメリカの法律(National Organic Program)で定められた、米国農務省(United States Department of Agriculture)オーガニック認証のマーク。95%以上の有機原料を使用したものでなければマークをつけることはできません。

【100 percent organic】
100%オーガニック表示・マーク貼付可

Organic
95
%以上オーガニック原料の製品はオーガニック表示・マーク貼付可

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「COR」

カナダ国内の有機認証制度、COR(Canada Organic Regime)に基づき認証されたものにつけられるオーガニック認証マーク。カナダ食品検査機関(CFIA)がロゴの使用を規制しています。有機ロゴの使用は、95%以上の有機含有量を有し、COR(Canada Organic Regime)の要件に従って認定された製品に対してのみ許可されています。

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ACO

ACO(Australian Certified Organic)は、オーガニックおよびバイオダイナミック農産物のオーストラリア最大の認証機関。オーストラリア検疫検査局(AQIS / The Australian Quarantine and Inspection Service)によって承認された認証会社です。オーストラリア認定オーガニックのロゴ「bud(つぼみ)は、オーストラリアのオーガニック業界を代表するロゴです。

 

やはり農業大国には制度システムがありますね。オーストラリアは色々な商品にカラーリングなども合わせて、このマークがついているようです。

では、我が国はどうか?

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農林水産省が「有機JAS」という認証をしています。農薬や化学肥料に頼らないことを基本とし、農産物、加工食品、飼料及び畜産物に着くマークです。

しかーーし!ワインをはじめとするアルコール類は対象となっていません!!!

大きな理由は、アルコール類の管轄省庁は、農林水産省でなく国税庁だということで、このマークは使えません。いかにも日本らしい理由。一応、国税庁も「酒類における有機等の表示基準」というものを定めていて、準じた製造をすれば「有機」「オーガニック」と表記できます。

 

前回のブログにある「ビオディナミ農法」はオーストリアの学者が提唱したので、やはりヨーロッパは自然派の生産者も多く制度も整っています。アメリカ、カナダ、オーストラリアは移住者も多いし農業が盛んなので必要性もあると思います。
日本も農業は盛んで海外に自慢できるものはたくさんあります。お米や和牛など原産地呼称も制度化されていますが、ワインの原産地呼称についてもやっと決まったぐらいでしょうか。これから、国産自然派ワイン専用のマークとかラベルについているとファンの方には選びやすくなるかもしれません。自然派生産者はたくさんいらっしゃいますので。

海外でも、認証は受けていないけど自然派という作り手はたくさんいます。ロマネコンティもそうですし。ロマネコンティが認証されてるかは知りませんが、認証されなくても銘酒として売れます。歴史もありますしw

 

皆様にお伝えしたいのは、「認証されてるから美味しいワイン」というわけではない部分もあるということです。ビジネスの要素もあります。私がワインを勉強し始めた頃は、ヨーロッパの酷いビオワインが多かったのも現実です。今ではあまり見かけません。制度が確立され、生産者の意識も高まり、努力が結果に繋がったのだと思います。今後も楽しみなジャンルであるのは間違いありません!

 

ちなみの、「SO2無添加だから二日酔いが楽」というのは科学的に立証されていないようです。裏付けとして、私も身をもって感じています。問題は体力と飲み方のようです。皆様もほどほどに・・・